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トンボの赤い羽根、白い羽根 [虫]

奥日光はトンボの避暑地である。
トンボは生理的に暑さに弱いため、暑い夏の間はそれぞれ涼しい場所を見つけて移動する(ここの記述の誤りをコメント欄で訂正してあります;nikkin)。奥日光は日光地区のトンボの避暑地として理想的な場所である。

移動は団体行動で行われるらしく、田園地区では大勢見られたトンボがある朝急にいなくなり、とても寂しい思いをする。逆に秋が深まるとある朝急にトンボが増えて、何が起こったのだろう、と思ってしまう。

23,7,10 トンボの赤い羽根1-9.jpg
1. 7月10日 このころはアキアカネはいない。ナツアカネの色はちょっとさびしいが、日差しによっては赤く輝く。

23,7,10 トンボの赤い羽根2-4.jpg
2. バックの青色にも助けられて赤が美しい。

23,7,18 トンボ1-5.jpg
3. 4枚の羽根が複雑に光っている。

23,7,18 トンボ2-3.jpg
4. 止まった直後は羽をひらひらさせている。

23,7,18 トンボ2-5.jpg
5. 落ち着くと羽根を下げ気味にするので反射が変わって光らなくなる。その前にあわててシャッターを押す。

23,8,7 朝霧トンボ1-2.jpg
6. 8月7日 今度は朝露に濡れた白い羽根である。ホザキシモツケの中に止まっている。

23,8,7 朝霧トンボ1-5.jpg
7. これは一度飛んでまた止まったか。朝露が大半落ちてしまった。

23,8,7 朝霧トンボ1-6.jpg
8. 逆光の中で白が目立つ。

23,8,7 朝霧トンボ1-8.jpg
9. 同じトンボをアングルを変えて撮った。

昼間飛んでいるトンボの数の2~3%くらいしかこのような姿で現れない。他の大多数はどこかに隠れて夜を過ごしたことになる。
このようなトンボが全く見えない朝もある。全員が隠れ家で朝を迎えたことになる。

見つけられる朝は何匹も見つけられる。この差は何なのだろう。
何らかの条件が満たされた時、このような姿のトンボが増えるのである。その条件が分からない。

23,8,15 光徳沼のトンボ1-1.jpg
10. これは8月15日。 前回のクモの巣の最後の画像と同じである。左上に白いトンボが居る。

23,8,15 光徳沼のトンボ1-2.jpg
11. トンボはかなり寒さに強いらしく、霜が降りても残っているトンボをときどき見かける。今は霜が無いので朝露の中で光っているが、霜の朝はまるで死んだように動かない。朝日を浴びてしばらく温まった後に、どこかへ飛んでゆく。まるで忍者みたいなトンボだ。


戦場ヶ原のクモの巣 [虫]

以前から気になっていたのだが、戦場ヶ原には不思議なクモの巣を作るクモがいる。

23,7,23 クモノス1-4.jpg
1. 右方に通常のクモの巣が見られるが、中央から左方のクモの巣は何だ! 何かごちゃごちゃと無秩序に糸が絡んでいる。

23,7,23 クモノス2-9.jpg
2. ここではよりはっきりと見えるが、下に凸の中華鍋型のクモの巣が上からつりさげられている。

23,7,23 クモノス3-1.jpg
3. 早朝の戦場ヶ原で朝霧の細粒を宿して白く輝いている。

23,7,23 クモノス3-2.jpg
4. たくさん並んだ様は壮観で、観光客たちは一様に「何なんだ、これは?」と呟きながら通る。

23,7,23 クモノス1-6.jpg
5. 引き寄せてみるとまるで樹上ハウスのようだ。四方八方に糸で固定されている。横から見たのでは分かりにくいが、中心部は中華鍋型の部屋になっている。

23,7,23 クモノス1-8.jpg
6. これは2階建て、ではなくて2個が並んでいるだけだ。細部に違いがあるが、全体的にはよく似た構造である。

23,7,23 クモノス1-9.jpg
7. 木漏れ日に少し輝いている。帆船のようにも見えるが、舟形ではなくお椀型である。

23,7,23 クモノス2-2.jpg
8. 今までの撮影と違って、順光で撮った。プリズムのように7色に光っている。

23,7,23 クモノス2-3.jpg
9. 再び逆光。これはやや簡素な構造である。

23,7,23 クモノス2-6.jpg
10. 複雑に張り巡らされた糸。餌がかかった巣を見たことが無い。夜の間に修理しておくのだろうか。

23,7,23 クモノス2-8.jpg
11. 家主の姿を見かけたことも全くない。どこに隠れているのだろう。
これらの巣は明らかに上から下へ向かう虫たちを絡め獲ろうという意図だろう。

23,7,23 クモノス2-7.jpg
12. ところがこれは上に凸である。数は少ないがこれもあちこちで見かける。下から上に向かう虫を獲ろうというのだろうか。

23,8,9 クモノス1-1.jpg
13. 別の朝、鍋型のクモの巣。朝露がきれいである。

23,8,9 クモノス1-4.jpg
14. ちょっといたずらしてシャボン玉を吹きつけてみた。迷惑だったかもしれない。巣自体はシャボン玉を宿すのが嫌いなように見えた。

23,8,15 光徳沼のクモノス1-2.jpg
15. これは光徳沼で見つけた通常のクモの巣。これらは横に飛ぶ虫をとらえようという企図で架けられている。この中に鍋型は1個もなかった。ここは横に飛ぶ虫が多く、戦場ヶ原では上下移動タイプの虫が多いのだろうか。上下移動タイプの虫を狙うにしても、なぜ単純な一重の巣を作らずに、あのような複雑極まりない巣を作るのだろう。まだまだ謎ばかりのクモの巣であるが、皆様のご意見をお聞きしたい。


ガの目に涙 [虫]

2週間前朝露に濡れそぼったトンボの画像を披露させていただいた。http://blog.so-net.ne.jp/nikkodayori/2010-08-22  
その後似たトンボに何度か出会って画像に収めたたが、新事実には気づかずにいた。

たまたま珍しい「朝露に洗礼された蛾」に遭遇して画像に収めた際、トンボでは気づかなかった「涙」に気づかされ、それを追求してトンボの「涙」にたどり着いたいきさつをお伝えしたい。

22,8,31 朝露蛾1-2.jpg
8月31日早朝、ススキの穂に止まったガを発見した。
朝露トンボは10匹を超えるほどに出会って撮ったが、チョウやガには初対面だった。体温調節機能が異なるらしく、チョウやガは夜露にさらされることを好まないようである。せっかくの機会なのでしっかりと撮らせていただいた。

22,8,31 朝露蛾1-3.jpg
まずは頭頂部から。子犬の頭を上から見ているような感覚にとらわれる。
左右に張り出した鳥の羽根のようなものが触角である。
頭頂部の毛には撥水機能があるらしく、霧滴が目立たない。

22,8,31 朝露蛾1-9.jpg
触角には微小水滴がいっぱい付着している雰囲気だ。

22,8,31 朝露蛾2-1.jpg
焦点の深度差から、ここでは目玉に焦点が当たっているが、なんと両の眼にあふれんばかりの涙、いや霧滴が付いていた。
ちょっと感動したが、こんなしつこい撮影に怒りの涙かと、一瞬動揺した。

22,8,31 朝露蛾2-3.jpg
ここでは触角に焦点を合わせて、その霧滴を撮った。

22,8,31 朝露蛾2-6.jpg
右斜め上から。触角の霧滴がよく見える。

22,8,31 朝露蛾2-7.jpg
引きよせてみると角膜の上にはびっしりと霧滴が…。

触角や手足に付く霧滴が目の角膜に付いていても何の不思議もない。
しかし、トンボの大きな目玉に霧滴が付いていた印象が全然ない。

戻って
http://blog.so-net.ne.jp/nikkodayori/2010-08-22で確かめたが、やはりあの大きな目は鏡のように平坦で、霧滴が1個もなかった。
なぜだ? トンボの角膜には霧滴が付かず、ガの角膜には付くのか? 
また他のトンボでじっくりと観察しなければならない


22,9,3 朝露トンボ1-3.jpg
と思っていた矢先、今朝9月3日、こんなトンボに出会った。
これはどうだ。あの大きなトンボの角膜には無数の霧滴が付いているではないか。


22,9,3 朝露トンボ1-6.jpg
これも同じ。羽の霧滴もこれのほうが密度高く付いている。
ならば前回のトンボの涙はどこへ行ったのだろう。

思うに、あのトンボは朝起きたばかりではなかったのだろう。
トンボが前足で顔を(目玉を)ぬぐう動作は周知の動作である。「顔を洗う」と表現されている。したがってあのトンボは、霧の朝、早起きして顔を洗った後だったに違いない。

22,9,3 朝露トンボ1-9.jpg
ストロボを焚かずに撮ると目玉の霧滴は見えにくい。

22,9,3 朝露トンボ2-9.jpg
アングルによって羽が1枚ずつしかないようにも見える。それはアングルのトリック。このびっしりと霧滴の付いたトンボが本物の朝露トンボである。

さて、このようなトンボが霜トンボになった時、角膜は白い粒粒で覆われるのだろうか。ぜひ本物を検証したい。今から楽しみである。



朝露トンボ [虫]

朝露トンボについては先日ちょっとだけ紹介した。http://blog.so-net.ne.jp/nikkodayori/2010-08-08 

この時ははるか20mほども木道から戦場ヶ原に入ったところで、望遠レンズで撮るのがやっとだった。
今回は、マクロレンズで撮れる位置で見つけたので、約40分間撮り放題の状態だった。

22,8,21 朝露トンボ5-9.jpg
朝露トンボとは私の造語であるが、夜の冷気に一晩中冷やされ、朝露をタップリと羽に宿したため、飛ぶに飛ばれず、お日様が体温を上げてくれるのを待っている状態のトンボである。
これが霜の朝だったら霜トンボ(これも私の造語)となる。
霜トンボはまだ2回しかお目にかかっていない。朝露トンボもまだ3回目である。

22,8,21 朝露トンボ1-4.jpg
トンボはススキに止まっていた。
5:52、下界の日の出は終わっていたが、男体山の日陰となる場所だったので、直接日が当るまでにはあと1時間近くかかる地点だった。
この画像はストロボなし、前画像はストロボ撮影である。

22,8,21 朝露トンボ1-6.jpg
ストロボのほうがきれいに撮れるので、ストロボ撮影が多い。
羽にびっしりとついた朝露が光を反射して赤紫に輝いていた。

22,8,21 朝露トンボ1-9.jpg
一見霜が降りたかとも思われる外観だったが、よく観察すると明らかに霜ではなかった。

22,8,21 朝露トンボ2-4 - コピー.jpg
尾っぽには真珠のような露玉がついていた。

22,8,21 朝露トンボ2-7 - コピー.jpg
最初はトンボを驚かさないように、慎重に慎重を重ねて撮っていたが、全く動かないトンボについ油断して、三脚の足をトンボが止まるススキにひっかけてしまった。

22,8,21 朝露トンボ2-9.jpg
さすがにトンボは羽をばたばたさせて落下したが、幸い10cmほど下の枝にしがみついた。それっきりまた動かなくなった。緊急事態がない限り動かないのだ。

5年前初めて出会ったとき、私は簡単に羽を捕まえた。トンボがもがいたので放したらすぐ先の草に止まった。以後は捕まえてはいけないと決めた。

22,8,21 朝露トンボ3-9.jpg
羽についていた露玉がかなり散ったように思われる。

22,8,21 朝露トンボ4-3.jpg

尾っぽの露玉も散ってしまった。
私のミスが状況を変えてしまったのである。

22,8,21 朝露トンボ4-5.jpg
それでもまだまだきれいだったので、私は前から、後ろから、横からストロボで撮り続けた。
こんな大きな目玉を持つトンボにとっては、直近からのストロボの光はわれわれが稲妻に驚かされるよりも大変な出来事だったことだろう。彼に謝らなければならない。


22,8,21 朝露トンボ4-8.jpg
外気温が少しずつあがって、トンボも私から逃げるようにもそもそと動き始めた。

22,8,21 朝露トンボ5-1.jpg
それでも私は容赦せずに撮り続けた。全く可哀そうなことをしたものだ。
一つには、もうすぐ飛び立つことが予想されたので、なるべくたくさん撮りたかったこともあるけれど…。


22,8,21 朝露トンボ5-7.jpg
尾っぽの露玉はほとんど消えてなくなった。
羽の構えが今にも飛び立ちそうに見える。


22,8,21 朝露トンボ6-2.jpg
こんな無遠慮なカメラに怒っているようにも見えた。
ふと、こんな歌が頭をよぎった。
 ”君は何を今見つめているの♪ 若い悲しみに濡れた瞳で逃げてゆく…♪”


22,8,21 朝露トンボ6-5.jpg
止まっているススキを引っ張ると、こんなポーズも簡単に撮れた。
さすがに彼も堪忍袋の緒が切れたようだった。この直後に飛び立って私の視界から消えた。

この後10分もしてから直射日光が届くようになると、この場所にはたくさんのトンボが飛び交い始めた。彼らはどこかに隠れて夜を過ごしたらしい。人の目につく場所で夜を過ごすトンボは例外的にしかいないようだ。
もしもう一度会えることがあったら、もっと優しくしてあげたい。
しかし、ストロボを焚かない撮り方は無理かも…。


そして1匹も居なくなった? [虫]

数回前、田んぼのイネに巣を作る、空を飛んで来たらしいクモについて記した(空を飛んで来たクモ)。

数日後その後の様子を見に行った私は、衝撃の場面に遭遇した。

20,8,4 農薬散布2b.jpg

クモの巣が一番密度高く見られたまさにその一帯に、ラジコンヘリコプターを使った農薬散布が行われて居たのだ。
農薬の人間生活への影響を考えてか、未だ薄暗い早朝に行われていた。周りには人々が近づかないよう、見張り員が数名立っていて、早く通り過ぎるよう促していた。
なるべく遠くに立って撮影させてもらった。
「強力な農薬ですから、気をつけてくださいね」
「分かりました。何を目的の農薬ですか」
「今回はカメムシですね」
カメムシと言えば大きな昆虫だ。クモも間違いなくやられて
しまうのだろう。

見知らぬ遠くの地から風に乗って飛んできた、この地をパラディーソと信じていた、開拓精神の旺盛なクモの子たちが、早くも出会った過酷な試練だった。

初めてこの勇気あるクモたちに出会って以来、Boys be ambitious の同志として、心と心のつながりを感じていた私にとって、この衝撃は大きすぎた。
現実の厳しさを見せつけられて、しばらくこの田んぼに近づけなかった。

20,8,13 クモの巣の無い田んぼb.jpg
8月13日、思い切って再訪してみた。畏れていたとおり、クモの巣は
1個も無かった。稲穂はそろって頭を垂れているのに、わが友たちは絶滅したのだろう。
あのときこの一帯を新天地として選んだクモたちは、自然の摂理?によって絶滅させられたのだ。

20,8,13 田んぼのクモの巣2b.jpg
待て待て、もう少し目線を下げてみよう。ん…、あれは何だ。クモの巣だ。
以前の巣だけが残っているのか、新しい巣か…。

20,8,13 田んぼのクモの巣3b.jpg
密度が減じたようには見えるが、生きているクモが居るのか、居ないのか。はなはだ気になるところだった。いくら眺めてもクモの存在は確認出来なかった。

20,8,13 田んぼのクモの巣5b.jpg
あれは何だ。明らかに巣の中心部に重さのある物体が存在するぞ
。少し遠くてクモの姿ははっきりしないが、生きて居るぞ!

20,8,13 田んぼのクモの巣6b.jpg
もっと近くを探して見た。あった! 居た! 元気なクモだ。
嬉しかった。感激だった。
「クモよ、クモ。お前さんは偉いなあ。よく頑張ったなあ。一体全体、どこに隠れていてあのピンチを切り抜けたのだ?」
「……」 相変わらず無口なクモだった。

当分次の農薬散布は無いだろう。早く成長して、早く子を産んで、米の収穫前には次の新天地に飛び立てよ。もう水田を選ぶのはやめた方がいいんじゃないか? 何、農薬なんかへっちゃらだい? そんなに自信過剰になってはいけないよ。人間どもはより強い農薬を作って来るのだから。
それにしても、イネの害虫たちを捕らえるお前さんたちクモがとばっちりを受けるんじゃかなわないなあ。それとも何かい、あの農薬はクモには害が少ないように作られているのかい?

帰り道私は気づかないうちに鼻歌を歌って居た。

「日の光雨のち晴れのクモの旅」  nikkin


広島平和祈念式典とクマゼミ [虫]

あれっ、今年は鳴いていない。初めて気づいたのは5~6年前だった。
毎年広島の平和祈念式典ではうるさいほどのクマゼミの合唱をテレビで聞いていた。
シェーシェーシェーシェー…。あのテンポの速い、気ぜわしいクマゼミの合唱が私にはなぜか心地よかった。それが急に聞こえなくなったのだ。なぜだろう。

北海道で生まれ育ち、その後東京に永く住み、クマゼミとは縁が無かった。
20年以上前、夏の伊豆旅行に行ってクマゼミと初対面、いや初対耳した。聞こえる範囲のクマゼミの全個体が、声とテンポを合わせて合唱するサマが新鮮で、不思議で、感動的だった。私の知っていたセミで他の個体とテンポを合わせるセミが居なかったから。

クマゼミに対する興味が湧いて、いつも聞き耳を立てて居た。東京でも時々迷い込むクマゼミが居たが、他の個体が居ない中の独唱には興味が湧かなかった。

この時期に西日本方面へ旅行しなくなって久しい。クマゼミの大合唱と接することが出来るのは広島の平和祈念式典、しかもテレビからの合唱だけになり、結構楽しみにして毎年テレビを待っていた。
そのクマゼミの合唱が聞こえなくなって数年。短期的傾向かと翌年を待ち続けたが、ずっと合唱なしが続いて居る。今朝のテレビでもクマゼミは聞こえなかった。

クマゼミが居なくなったのか、習性が変わったのか、式場の周りにだけ居なくなったのか…。
周囲の人々に質問をぶつけたが誰も相手にしてくれない。「クマゼミ? そんなのもともと聞こえていなかったよ」とか、「気にしたことがないから知らないけど、nikkinさん、ひまなんだね」とか。

一つ考えられる理由として、AV機器が進歩して、選択的に声を拾うようになり、クマゼミの合唱が省かれたのかもしれない。
とはいうものの、気になることは気になって仕方がない。どなたか、今広島ではクマゼミの大合唱が存在するのかしないのか、もし存在しないのならば、その理由は何なのか、ぜひお教えいただきたい。

20,7,20ネムノ花1b.jpg
夏の旅行とネムノ花とは切っても切れない縁がある。暑苦しい車の旅の途中、この涼しげな花にどんなにか慰められたことだろう。

20,7,6 ナツツバキ2b.jpg
ナツツバキは東京では庭園樹としてしかお目にかからないが、こちらでは自然林も多い。これも涼しい花だ。

20,7,30 赤いひまわり3b.jpg
最近見かける赤いヒマワリ。英語でサンフラワーだから、赤い太陽が好きな私にはふさわしい?

20,8,3 マイヅルソウ1b.jpg
マイヅルソウ。奥日光に多い。葉の形態が鶴の羽根に似ているとか。

20,8,3 フランスギクと節子2b.jpg
フランスギクと古女房。ルノアールの名画に思いを馳せて…。

今市の美その他 835b.jpg
奥日光の蝶、ヒョウモンとフタスジチョウ。ホザキシモツケに良く似合う。

20,7,19 イブキトラノオとフタスジチョウ2b.jpg
フタスジチョウはイブキトラノオが好きらしい。模様が透けて見えている。
スジが1本のように見えるが、これでフタスジチョウ。

20,7,19 7匹のフタスジチョウ5b.jpg
小田代原の木道脇で7匹がかたまっていた。花も蜜もない笹の葉の上に…。
種明かしは、独りよがりの解釈だが、糖尿病の男性の放尿跡に違いない。なんとも花も実もない解釈だなあ。


空を飛んで来たクモ [虫]

20,7,25 水田のクモの巣1b.jpg
7月25日早朝、霧が濃く、薄暗い農道を通りかかった私は、伸びてきた稲の上にかかる無数のクモの巣に驚かされた。思わず車を降りて写真を撮った。
クモの巣には、折からの霧で白い粉のような微小水玉がびっしりと付き存在が強調されていたが、これがなかったら目には留まらなかったに違いない。霧のお陰で思わぬ大発見?となった。

20,7,25 水田のクモの巣3b.jpg
条件を変えて撮った。霧の水玉で重くなっているが、乾いているとほぼ水平なのだろう。
巣の外側にも無数に糸をとばしている。糸をとばすのが好きなクモだろうか。

科学畑の仕事をしている者として疑問が湧いた。
クモだって獲物が居ないところで巣を張るはずがない。こんなにたくさんの巣があるということは、たくさんの昆虫が居るということだろうか。しかし、稲穂は未だ見えない。花のない稲に昆虫が来るのだろうか。

もっと不思議なことに気づいた。水田は、浅くなったとはいえ未だ大部分が水に覆われて居た。ならばクモはどうやってあそこまでたどり着いたのだろう。葉と葉の接触部を伝って?、それとも水のない浅瀬を探して迷路のような通路を通って来たのだろうか。しかもあんなに多数が…。

ふと「空を飛ぶクモ」のことが頭をよぎった。
錦 三郎 は山形県で長く小学校教師をしながらクモの生態を研究して、1974年「空を飛ぶクモ」という本を出版した。大反響を呼んだ。

初冬のある日、小柄のクモが草の頂点に登って、おしりを突き出し糸を空中に飛ばし始める。糸の本数と長さが増し、十分に風を捕らえたと判断できるときクモは手足を草から放す。まるでパラシュートのように風に乗って空中を旅する、不思議なクモの話である。写真付きの本は説得力があった。第22回産経児童出版文化賞を得た。今は幻の名著と言われ、古書店で人気が出ている。

糸を放つクモ.jpg
この画像は「海野和男のデジタル昆虫記」http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/diary/200411/1101214879.htmlから頂いた。
自前の画像が撮れたらどんなに嬉しいだろう。今後の努力あるのみだ。

行き先は風任せ、着地点も自分ではままならない。大きな川や湖に着水して魚の餌になるクモも多いことだろう。そんな危険を冒しても飛び立たねばならない本能がある。何のために、何を探して…。
餌の多い場所を求めて? 子孫の繁殖地を増やすために? あるいは住みやすい住環境を求めて…?

こんな知識があるにはあったが、この水田にそれを当てはめるにはあまりにも唐突な感じがした。

20,7,30 水田のクモの巣3b.jpg
7月30日、今度は意識的にクモの巣を探しながら農道を通った。
霧はなく、お日様が強かった。密度は小さいものの、クモの巣はあちこちに見つかった。

ちょうどそこに居た若い農夫に質問した。
「クモの巣がたくさんありますが、この時期の田んぼに昆虫は多いのですか」
「結構居ますね。クモの餌には十分でしょう」
「クモは水のある田んぼの真ん中までどうやって渡って行ったのでしょうね」
「クモは空から降って来るのですよ」
私はこの若い農夫がそんな知識を持っていることに驚いた。
「そういうことを聞いたことはありますが、それはもう常識ですか」
「常識ですよ」 
なるほど、このたくさんのクモの巣を毎日見ていると、常識になるのだろう。
それが真実ならば、クモの巣の密度が大きい田んぼと、ほとんど無い田んぼとの混在が説明できる。
それに、巣の外に糸を飛ばしまくっている習性も何となく分かる。
「飛んでいる姿を見たことはありますか」
「見たことはありませんけどね…」

20,7,30 水田のクモの巣2b.jpg
7色に光るクモの巣の中で、クモは悠然と沈黙している。
「おい、クモ君よ。お前さん本当に空を飛んでここまで来たのかい? どこから来たんだい? なぜそんなことをするんだい?」
クモは何も答えてくれない。
ああ、私はクモと交信する手段が欲しい!


エゴノキの花が散る頃~オトシブミ [虫]

19,6,7エゴノキb.jpg

エゴノキの落花は見事な光景だ。この花が散る頃になると、ほろ苦い思い出がよみがえる。

18,7,13オトシブミ2b.jpg

2年前、朝の散歩道で葉巻のようなものを見つけた。
あ、オトシブミだ。
以前から書物による知識はあったが、実物を見るのは初めてだった。少々興奮してしまった。

18,7,13オトシブミA 端b.jpg

実に精巧に作ってある。糊も使わずに葉を巻いて作った巻物である。葉を中心葉脈に沿って二つ折りし、それをぐるぐると巻くだけだが、なぜか解けにくい。折紙よりも精巧である。

18,7,13オトシブミB端b.jpg

もう一方の端は自由縁になっている。傍らに落ちていたのはエゴノキの若い実である。

18,7,8葉から下がったオトシブミb.jpg

見上げると未だ切り落とされていないオトシブミがあった。周りには踏みつぶされたオトシブミが多数あった。

落とし文」 実際は虫の名前だ。カナブンの仲間で体長5~8mm。親虫が卵を産み付けて葉を巻き、切り落とす。落とされたものもオトシブミと呼ばれる。他の呼び名は「オトシブミのゆりかご」。卵はゆりかごの中で孵り周囲の葉を食べて成長する。エゴノキ、白樺、ハルニレ、ケヤキなど数種の木に住み着く。木の種類ごとに成虫の種類も異なる。

平安、鎌倉期に、恋をした若者同士が仲むつまじく一緒に歩くこともままならず、一方が先に歩き、他方が後を歩く。前を歩く者が巻紙状の恋文を落として相手に心の内を伝えたと言われる。形が似ているのでこの名が付いたとか。奥ゆかしいいい命名だ。

初対面の感激で写真を撮りまくっていると農夫が通りかかった。私はよせばいいのに彼に語りかけた。
「これオトシブミですよ。すごいですね。踏みつぶされたのが多いですね。可哀想なことをする人がいるんですね」
彼は苦虫を噛みつぶしたような顔で無言で通り過ぎた。何と失礼な!

2日後、勇んでその場所に行ってみると、何とそのエゴノキだけが切り倒されていた。遠くで例の農夫が働いていた。
勘の鈍い私にも何が起こったのか理解できた。
農夫は自分の庭のエゴノキにオトシブミが住み着いたことに腹を立てていた。毎朝落ちたゆりかごを踏みつぶすことにしていたが、愚かな散歩者が憐憫の情を見せたり、踏みつぶす行為をなじったりしたことが許せなかったのだ。

私がエゴノキの命を縮めたのと同じだ。住み着いたオトシブミはどうなったのだろう。

19,6,7エゴノキのオトシブミb.jpg

20,6,10 落とし文1b.jpg

エゴノキはあちこちで見かける。花と一緒に今もオトシブミを見かける。
せめてもの罪滅ぼしに、私は見つけ次第オトシブミを拾いあげて歩道から草藪にそっと移してあげることにしている。

「オトシブミ奥ゆかしき名初夏の風」  nikkin


夢の吊り舟-不思議なクモの巣 [虫]

戦場ヶ原にホザキシモツケの芽が出てくると、不思議なクモの巣が増えてくる。ホザキシモツケが虫を惹きつける香りを出し、寄ってくる虫を捕らえようとクモ様のお出ましとなるのだろう。未だ花の蕾さえ見えないホザキシモツケだが、香りは漂って居るのだろう。人間の鼻には感じ取れない。

20,6,1 八方がらめのクモの巣1b.jpg

ホザキシモツケの藪の上に、小高い枝を選んでクモの巣が無数にある。朝霧で巣が目立ちやすくなっているが、晴れの日にはほとんど目に付かない。

20,6,1 八方がらめのクモの巣6b.jpg

すぐそばに寄ってみると、鍋底のような底面と、その鍋底をつり上げる無数の縦糸、さらに横糸も多い。鍋底の下にも糸の集団がある。基本的にこの形は全体に共通である。ホザキシモツケの去年の枯れ穂を使って居る。

20,6,1 八方がらめのクモの巣4b.jpg

これは今年のホザキシモツケの若い芽に張った巣である。遠近2個の巣がある。縦糸横糸の組み合わせでつり下げる様は同じである。

20,5,30 八方がらめのクモの巣4b.jpg

これはカラマツの枝である。カラマツにも虫を惹きつける香りがあるのだろうか。鍋底の下面も糸で引っ張られている。ただ、ここには鍋底の下の糸集団は無い。もう一つ変わっているのは、この巣には入り口が向かって左側に設置されて居るようだ。

20,6,4 八方がらめクモの巣2b.jpg

ズミの細枝に作った巣だ。糸の数がやや少なめ。工事途中だろうか。

20,6,1 八方がらめのクモの巣21b.jpg

これもズミの枝。まるで帆掛け船だ。逆光で朝露が光って居る。巣の糸も細かい水滴が付いて居るので、まるで自ら発光しているように見える。

20,6,1 八方がらめのクモの巣26b.jpg

これはホザキシモツケの枝にかかった発光する巣だが、作り方が雑。手抜き工事だ。

20,6,1 八方がらめのクモの巣18b.jpg

これは精巧に出来ている。まるで光る帆船の模型だ。しかも、周りの枝をたわめて、その反発力を利用して糸の緊張を保って居る。頭の良い家主だ。鍋底というよりは船底。その下には模型を置く台座まで用意してある。

20,6,1 八方がらめのクモの巣9b.jpg

光る舟の模型2個。古い枯れ穂を使っている。

20,6,1 八方がらめのクモの巣23b.jpg

これも良く光る模型だ。左側の枝に付く露が光って、夜空の月のようだ。「唄を忘れたカナリヤは 象牙の舟に銀の櫂
 月夜の海に浮かべれば 忘れた唄を思い出す」

20,6,1 八方がらめのクモの巣19b.jpg

朝日の赤外線を受けて赤く輝く、夢のようなクモの巣だ。何の木だろう。やや日陰の部分が青く輝くのは、日陰の雪が青く写るのと同じで、白梅の逆光でも見られた。

20,6,1 八方がらめのクモの巣24b.jpg

輝く舟の集団である。横から見ると船底に見えるが、実際には円形の鍋底に近い形だ。上部で鍋底をつり上げている縦糸と横糸は、横から見るほどに密ではなく、底が素通しと同じである。
さて、この変わったクモの巣は、どんな目的で作られたのだろう。作り主の姿を見かけたことは一度もない。
通常のクモの巣は2次元の広がりだけで、虫の通り道を遮るように地面に垂直にかけられている。この巣は3次元の広がりの球面を作り、、ゆりかごのように地面に平行にかけられている。しかも密度濃く編まれて居る。普通のクモの巣のように編めばこの10倍くらいの大きさの空間を占めることが出来るだろうに、なぜこんなに小さな空間で満足し、目の細かい鍋底を作ったのだろう。
私に考えられるのはただ一つ。1個を除いて入り口が上部にある。この巣は真上から落下気味にやってくる虫(カナブンの仲間?)を捕らえる為では無かろうか。小さいけれど網を破る力が強いので、頑丈に出来ている。飛行は得意ではないのだろう。このトラップにかかると、もう飛び立つことが出来ないのだろう。鍋底の下側の台座みたいな構造は、万が一底が破られたときの為だろうか。
出来ることならこの巣に捕らえられた虫を目撃したいものだが、果たしてうまく行くだろうか。また課題を1個増やしてしまった…。

20,6,1 八方がらめのクモの巣10b.jpg

上記の解釈で決まりかと思って居たら、こんなのを見つけてしまった。何だ、こりゃ! 
上に凸の鍋底だ。下に凸と上に凸、どちらが作りやすいかと言えば、断然下に凸だろう。しかも上に凸ではトラップの役目を果たさない。なぜこんなものを作ったのだろう。
たまたまここには2個並んでいるが、上に凸の巣は非常にまれである。クモの家主が間違えて作った、と解釈すれば簡単な答えになるが、この賢いクモたちが間違えるだろうか? 実に不思議だ。課題がまた一つ増えてしまった…。


風雲クモノス城 [虫]



戦場ヶ原を歩いている時こんな木を見つけました。まるでクモノスで十重二十重にガードしているように見えます。湿地帯で周りから湯気が立っていますし、周辺の草にも朝露が光っています。クモノスが白いのも朝露のせいです。
この木ほどではないにしても、時々クモノスの多い木を見かけます。それらの木は決まって枯れかけた、弱った木で、勢力旺盛な若々しい木には見られません。
クモノスが多いということは虫が沢山寄ってくることの証明です。ということは、弱って枯れかけた木は何か虫をひきつける香気を出すのでしょうか。思い当たることがあります。



つる草イケマの葉に集まった虫です。虫の嫌いな方にはお詫び申し上げます。
よく見ると健康な葉や、この葉の健常部には虫が集まらず、傷んだ部位にのみ集まっています。他のイケマの個体でも同じ現象が見られました。何かを暗示していますね。
「瀕死にて虫ひきつける哀れかな」 nikkin

 


 


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