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真っ赤な花筏 [花風景]

花筏(ハナイカダ)には二つの意味がある。

一つは、モチノキ目の落葉灌木の固有名詞であり、も一つは川面に散った無数のサクラの花弁が、お互いに連なったまま流れてゆくさまを表現した、普通名詞である。
個有名詞は、春、葉の中心に小さな花を咲かせ、夏、3個の黒い実を実らせる、摩訶不思議な植物である。

今回ご紹介するのは、そのどちらでもない。いわばnikkinの造語であるが、画像をご検証いただければ、誰もが納得できる命名であることを疑わない。

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1. ベニサラサドウダンの花。
ドウダンツツジは真っ白の花。サラサドウダンは薄いピンク色。ベニサラサドウダンは真っ赤である。日光地区には天然のベニサラサドウダンがとても多い。

今はほとんど散って残っているのはわずかであるが、この時期が、真っ赤な花筏を鑑賞するには最適な頃なのである。湖水の西向きの岸辺でこの木を探そう。

29,6,25 サラサドウダンの花筏6-2b.jpg
2. スズランに似た花が無数に落ちているが、陸地に落ちたのでは筏になることはできない。

29,6,25 サラサドウダンの花筏5-9b.jpg
3. 水の上であるが、苔蒸した岩を飾る程度で、花筏にはなっていない。


29,6,25 サラサドウダンの花筏7-1b.jpg
4. こんなにたくさん散って、この上なく美しいのだが、まだ花筏ではない。
花筏になれるような修行を積んでいないのだ。


29,6,25 サラサドウダンの花筏5-6b.jpg
5. 水面を漂う小さなグループの花たち。花筏の幼少期か?
彼らが風に吹かれて岸に打ち寄せられ、そこで大きなグループとなって、初めて花筏と呼ばれる姿になる。

29,6,25 サラサドウダンの花筏1-2b.jpg
6. 菖蒲の葉を彩る花筏。離れて観察すると、さながら菖蒲の花盛りである。

29,6,25 サラサドウダンの花筏1-4b.jpg
7. 少し引き寄せると、菖蒲の茎と密接していないグループも多い。
よるべないさすらいの孤児たちを、暖かくかくまってくれる菖蒲は、大恩人なのである。「あったかいスープでも召し上がれ」

29,6,25 サラサドウダンの花筏2-1b.jpg
8. 力強い幹が花たちに手を差し伸べている。
幹たちの大多数は鏡像にすぎないのだが、実像のごとくに見える。真っ赤ないかだたちは、身も心も寄せているのである。

29,6,25 サラサドウダンの花筏2-3b.jpg
9. 背景の緑色の鏡像が暖かみを添えている。
ちょっと目には、枝々に咲いた赤い花々にしか見えない。
実際には花筏たちは、すべて同一平面上にしか存在しないのである。

29,6,25 サラサドウダンの花筏2-4b.jpg
10. 水に浮くすべての小物達にすり寄って手を差し伸べる。筏も葉も、お互いに寂しいはぐれ孤児なのである。

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11. まさに筏である。1個1個は小さな花であるが、数十個集まって強く安全な筏となる。個々の花は、お猪口を浮かべたように、天に向かって口をあけているものが9割近くを占めている。筏の周りには微妙な波が生じて、光を反射しているので、あたかも城壁があるかのようにも見える。

29,6,25 サラサドウダンの花筏2-5b.jpg
12. 枯れ枝に咲いた赤い花であるといわれても信じてしまう。枝と水面の接点にのみ咲く花である。この花を見ずして結構というなかれ。

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13. 明るい空の鏡像の中で、丸い岩が浮いているような錯覚が生じている。
そして真っ赤な筏たちが、球体を取り巻くアカネ雲に見える。宇宙の果てには、こんな現実があるのかもしれない。

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14. 反射を消しているので、水面が暗くなり、赤と緑と黒の3色が妖しい雰囲気を醸し出す。いまにも、
湯の湖の精が「オッス」と顔を出しそうな…。

29,6,25 サラサドウダンの花筏3-7b.jpg
15.これまた妖しげな色彩の世界。いかなる状況なのか、少し考えてもらいたい。
おわかりだろうか。青みを帯びた細長い三角形の頂点だけが水面上に出ていて、岩の99%が水面下なのである。赤い筏がいい仕事をしている。

29,6,25 サラサドウダンの花筏4-2b.jpg
16. ここにも赤、緑、黒の不思議な調和の世界がある。
ここで半日を過ごしたい。「静けさやトリコロールの隠れ部屋」

29,6,25 サラサドウダンの花筏4-6b.jpg
17. 骨を連想させる枯れ枝の白がいい。
人文字ならぬ花文字は、ツツジの世界の文字かもしれない。ツツジの文化圏に足を踏み入れたのだろうか。浦島太郎も未経験の世界だ。

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18. トリコロールも他の色が混在すると、雰囲気が一変する。
中央上方、筏が空に向かって立ち上がっている。

29,6,25 サラサドウダンの花筏6-7b.jpg
19. もう一度、赤花の菖蒲を見ながら、お別れとしよう。
長い夢から覚めた心地で、ありがとう、さようなら。

10年ほど前にこの花筏を撮る機会があった。
その後毎年、もう一度会いたい、もう一度だけでいいから遭いたい。それで死んでもかまわないからと願いつつ、夢はかなわなかった。
10年後に再会できた恋人は、以前とまったく変わらない、美しい頬笑みを向けてくれた。もう死んでも悔いは無い…?





戦場ヶ原の新緑 [風景]

戦場ヶ原に遅い新緑が訪れている
遅いとはいえ
あれだけの規模で一斉に若緑色になると、圧倒されてしまう。
木々の中に埋もれながら空を見上げるとき、この圧倒的な新緑に、パワーと生命力を感じる。そしてしばし現実を忘れて夢心地に浸る。

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1. 少し遅いがズミの花も咲いている。初夏の空に映える深緑は、折から人生の春を謳歌するエゾハルゼミと合唱し、生きとし生ける者たちを祝福する。

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2. ブナ科の新緑は、若緑という呼び名がぴったりとくる。圧倒的な深みを誇る空の青に堂々と対抗している。青春に怖いものなし。

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3. さらには、夏の強力な太陽にさえ、一歩も引かずに対峙している。
がんばれブナ科の兄弟たちよ。鶯も鳴き、キビタキも唄っている。


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4. 今年は、まだ初夏だというのに、熊が出没し、人的被害も伝えられている。
早くドングリをいっぱい実らせて、飢えた熊たちに振舞ってくれたまえ。


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5. 光る若緑を逆光の樹幹で演出してみた。若緑が金色に見えるのは加齢による錯覚だろうか。

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6. シラカンバも「おいらも仲間に入れて」と腕を振る。もちろんだとも、みんな仲間さ。さあ手をつなごう。

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7. まだ芽吹きの遅れている木々もある。エンジュはその代表である。中央左の高い木が、エンジュか否かははっきりしない。

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8. 小川の周辺に白いズミの花が咲き、灌木類の新緑も美しい。まだ芽吹いていないちょっと恐ろしげな木は何だろう。


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9. 芽吹きの色も木々によって独特である。サクラやモミジの芽吹きは赤系が多いが、中央左の木は違うようだ。
 
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10. 木々の名前が分かったら、こんな景色を20倍も30倍も楽しめるのだが、
管理団体の自然博物館に恐る恐る提案したら、「奥日光は自然公園ですから、名札は付けません」とのこと。
木に名札を提げたら自然公園ではなくなる…? 100%納得はできない。



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11. まるで秋空のような深い青空。一本の飛行機雲が趣を添えてくれている。
どう見ても飛行機雲なのだが、その先端には、飛行物体が見えなかった。
消えたヒコーキのミステリー…。


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12. 針葉樹の深緑と広葉樹の新緑と。ともにシンリョクと発音されるが、優勢勝ちはやはり若緑だろう。

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13. 湯の湖の奥まった入江。鏡像の緑色がなんとも美しい。湖の妖精さま、愚かな私を誘わないでくださいね。

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14. 風のある日だったが、この奥まった入江では、水鏡の競演の真っ最中だった。

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15. 雑木林の中を行く小路。どこまでもたどってゆくと、おとぎの国に出られそうな…。初夏のお昼時、木陰で歓声をあげながら飛び回る妖精たちがまぶしい。
 おっと、またまた誘われ好きなわたしの弱みを突かれそう。ここには足を踏み入れまいぞ。




竜頭の滝のヤマツツジ [花風景]

先週は「竜頭の滝のミツバツツジ」で今週は「竜頭の滝のヤマツツジ」

これまでnikkinは竜頭の滝でヤマツツジを撮ったことが無かった。
華やかなミツバツツジが終わって、その直後にまたこんな華やかな世界が広がるなんて、想像すらもしていなかった。
というよりも、率直に申し上げれば、私はヤマツツジを見下していたのだ。
ミツバツツジの後で、これに匹敵する美景があるはずがないと思っていた。実に恥ずかしくかつヤマツツジに対しては失礼な話で、ひらにお許し願いたい。

今回も少々タイミングを逸してしまったが、今後は一生懸命にタイミングを合わせて撮り続けたいと思っている。


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1. 赤と緑の対比が美しいのみならず、水の流れが細分化されているのがいい。水が躍っているサマがよくわかる。

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2. 少し引き寄せただけであるが、なにか違和感がある。このあたりの感覚は個人差もあり、nikkinには自信がない。

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3. 手前の影絵のような葉っぱがいい味を出している。小さかった流れが合流し、やや怖い感じを与えている。

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4. 背景にも流れがほしかったが、無い物をねだっても致し方ない。

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5. 葉っぱが多すぎるのだろうか? 初夏真っ盛りの竜頭の滝に文句を言っても始まらない。

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6. 何か前衛的な雰囲気があるが、木漏れ日の瞬間画像である。
流れの存在が大きい。

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7. 一瞬後の撮影であるが、木漏れ日に動きのあることが分かる。もちろん流れも大きく異なっている。

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8. これも木漏れ日であるが、花が多すぎか…、引き寄せすぎか?
なにしろ灌木群の隙間を縫うショットなので、思うに任せない。

29,6,11 竜頭の滝のヤマツツジ2-9b.jpg
9. これだけの素材を生かしきれなかった1枚である。

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10. 水の明るすぎを抑えたら、花が暗くなった。未熟さを思い知らされた1枚である。いろいろあるから、カメラは面白い。





竜頭の滝のミツバツツジ [花風景]

今年の竜頭の滝のツツジ撮影は、ややタイミングを失して現地入りした。
滝壺周辺の花は終わっていたが、幸い、竜の胴体から尾の辺りは撮りごろであった。

滝と花とを撮るならば、当然スローシャッターによるなだらかな波を考えた。
しかし、午後の陽が燦々と照る時間帯で、花も波の背も日向と日陰の落差が大きく、前途多難を思わせるスタートであった。


29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ1-6b.jpg
1. 滝壺のすぐわきでは、ミツバツツジが終わってヤマツツジが咲き始めていた。
ヤマツツジの葉が明るすぎて、反動で波の背が暗くなっている。
露出補正の値を変えても、明るさ暗さの落差修正はままならなかった。
画像編集機能でも、未熟なnikkinの腕では、どうにもならなかった。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ1-7'b.jpg
2. ここでは、花と直下の波の背に陽が当たり、向こう側の波の背は日陰である。

日陰の青色が心を和ませる。
花に当たる陽がそれほど強くなかったので、この画像は容認できるものとなった。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ1-9b.jpg
3. ここでは、画面の99%が日陰なので、スローシャッター効果が良く出た。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ2-3b.jpg
4. この画像は複雑である。花にはかなり強い陽が差し、波の背は日陰あり、日向あり。さらに風が吹いていたため、一見手ぶれ画像のようになってしまった。しかし三脚を使用していたので手ぶれは無い。
風の中でスローシャッターを選んだのだから、この画像は想定内である。
そして動きのある画像が幻想的印象を与え、思いのほかの収穫を得た感じがした。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ2-4b.jpg
5. 風がない時の画像は、花弁を透過する日光が強すぎて、メタリックな印象を与えてしまう。波の背に青色が無いのは単なる瞬間的自然現象と思われるが、画像4と比べると、画像4の判定勝ちか…。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ3-2b.jpg
6. 花も波も日陰なのだが、左手前の葉だけの灌木が明るすぎて、画像全体を壊している。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ3-8b.jpg
7. ツツジの花はまだ蕾に近い。しかし、日陰の暗さの中で格調高い美しさを醸し出している。ところが、波の背が直射日光で照らされて出るメタリックな光に、画像全体が邪魔されている。この波の背が日陰だったらどんなに良かったことだろうと思うと、無念極まりない。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ3-9b.jpg
8. 構図から波の背を外すと、日陰で情熱的に輝く花が立体的に飛び出してくる。
風で揺れる葉のぼやけ具合も立派な助演賞ものである。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ4-4b.jpg
9. 灌木越しに見下ろす竜の背中。花だけが陽に照らされ、他は日陰にある。
花の数がすくないので、花の輝きも節度あるものとなっている。いい雰囲気であるが、左上の白い波が玉に傷となっている。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ4-8b.jpg
10. 日向の花と日陰の波と。陽のあたり具合が控えめなので、雰囲気を壊していない。


29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ4-9b.jpg
11. 右側に数個の花を撮りこむと、一層雰囲気が良くなる。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ5-2b.jpg
12. 花に当たる光が他の木の陰で和らげられて、いい感じである。
手前にある白い波も、それほど邪魔をしていない。

29,6,3 竜頭の滝のミツバツツ5-5b.jpg
13. この花は、これでもか、と言いたげに光を浴びているが、花の数が少ないと気にならないものである。背景の青い波とのコラボが美しい。

日陰と日向の落差が大きい中で、条件によっては容認できる画像が得られたりもする。カメラ道は奥が深く、行く手も遠い。









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